キンコン西野さんの「新世界」感想・レビュー。新しい時代がやって来ている

本の感想

どうも、会社やめたろー(@kaishayametarou)です。

 

キングコング西野亮廣さんの新刊「新世界」を読みました!

 

めちゃくちゃ面白い本だったので、長文になりますが感想をズラーーーっと書いてみます!

「新世界」感想・レビュー総括

 

まずは簡単に読み終えてみての感想を。

 

西野さんの著書は「魔法のコンパス」も「革命のファンファーレ」も拝読しているのですが、今回の「新世界」も非常に良い本でした!

 

「クラウドファンディング」「オンラインサロン」など様々なサービスが生まれる中で、みんなが気づいていない水面下で何が起きているのか? それを知ることができたと思います。

 

「水面下で起きていること」とはつまり、「お金」と「信用」にまつわること。

 

「お金を稼ぐために働く」時代はすでに終わりを迎えています。

 

今、この世界でなにが起きようとしているのか?

 

そして西野さんの描く「新世界」とはなにか。

 

それが、語りかけてくるような非常に柔らかな文体で書かれている本でした。

 

冒頭がいい!

 

まず「新世界」は冒頭がいいですね!

 

お笑い芸人の「キングコング」として、相方の梶原さんと過ごして来た日々。

 

その栄光とその影にあった大きな挫折。

 

その一文一文が胸を打ちます。

 

 

行方不明になってから3日目。  関西のカラオケボックスで見つかった梶原君は、ひどく怯えていて、もう完全に壊れていた。  とても、仕事なんてできる状態じゃなかった。  会話にならないどころか、声が届いていないんだ。  一緒にバカをして、一緒に未来を見た相棒が、ブッ壊れちゃった。

 

引用元:「新世界」西野 亮廣著 KADOKAWA / 角川マガジンズ

 

 

 

梶原君は戻ってくるのかな?  もう戻ってこないかもしれない梶原君を、ボクはいつまで待つのかな?  重い闇がまとわりついて、まるで先が見えない。  だけど、もし梶原君が戻ってくるようなことがあったら、今度はもう負けたくないな。

 

引用元:「新世界」西野 亮廣著 KADOKAWA / 角川マガジンズ

 

 

私の中で「キングコング」というと、とても明るく、痛快な漫才をされるお笑いコンビというイメージが強くあったのですが、その影でこのような経験をされているんだな、というのがまず衝撃でした。

 

特に梶原さんは、今はYouTuber「カジサック」として活躍をされていますし、あの持ち前の明るいキャラクターからは想像できないような挫折です。

 

そしてそうした日々で西野さんはどんなことを考えたのでしょうか。

 

その答えは実際に本を読んでいただければと思います。

 

西野さんの考え方はすごい

 

新世界」を読んでいて思うのは、西野さんの考え方はやはり面白い、すごいということ。

 

使い古された表現かもしれないが、「常識を疑うこと」の重要さが身にしみてわかります。

 

面白いことを考える人はこういう考え方をしているんだ、という考え方の勉強になることは間違いないです。

 

常識やこれまで当たり前とされてきたことを壊して再構築できる人、それが西野さんです。

 

文中にこんな例が出て来ます。

 

 

 

絵本『えんとつ町のプペル』は、実は〝これまでの絵本〟とは作り方が大きく違うんだ。  ボク一人で作ったんじゃなくて、分業制で作ったんだよ。  最初は一人で作っていたんだけど、途中で、ふと思った。 「あれ? 絵本って、なんで一人で作ることになってるんだっけ?」  たとえば映画だと、監督さんがいて、カメラマンさんがいて、美術さんがいて、照明さんがいて、メイクさんがいて、役者さんがいて…それぞれの得意分野を持ち寄って、分業制で作られている。  テレビのドラマもバラエティーも、人気漫画も分業制。  会社組織も分業制だよね。

 

引用元:「新世界」西野 亮廣著 KADOKAWA / 角川マガジンズ

 

 

絵本「えんとつ町のプペル」は分業制で作られています。

 

これって、従来の作品作りとはかけ離れた発想ですよね。

 

「プペル」が分業制で作られていることは以前から知っていましたが、改めて「新世界」で読んでみて、「小説でも同じことができるな」と感じました。

 

ショートショートなんて一番わかりやすいかも。

 

アイデアを誰かが作って、プロットを誰かが立てて、オチを誰かがつける。

 

そんな感じで一つの作品を作り出す。

 

本文も分業制にしてしまえばいい。

 

人物描写は誰々が。街の描写誰々が。会話は誰々。

 

そんな感じで、上手い人がその場面だけ書く。そんなこともできそうですよね。

 

これまで一人で作ることが当たり前だったものを分業制にするという発想は他にも色々なことに応用できそうです。

 

「お金を稼ぐ」から「信用を稼ぐ」社会へ

 

今はお金の稼ぎ方が大きく変わっています。

 

新世界」の大きなテーマでもある「信用」

 

今は信用さえあればお金には困らない時代になっています。

 

例えば、とても信用がある人はクラウドファンディングでお金を集められるようになりました。

 

「お金持ち」ではなく、いわゆる「信用持ち」はいつでもお金を生み出せる状態になっています。

 

 

 

ホームレス小谷は「お金持ち」じゃなかったけど、「信用持ち」だった。   信用を稼ぎに稼ぎまくっているから、「クラウドファンディング」という「信用をお金に換金する装置」を手にした時に、お金を作り出すことができた。

 

引用元:「新世界」西野 亮廣著 KADOKAWA / 角川マガジンズ

 

 

今は信用さえあればいくらでもお金を作り出すことができる。

 

では信用を貯めるにはどうしたらいいか。

 

その一つの方法が「嘘をつかないこと」だと西野さんは書いています。

 

嘘で「美味しい」と言わない。嘘で「この商品はいいものです」と言わない。

 

そういう人に信用が集まっていきます。

 

ホリエモンこと堀江貴文さんや西野さんのような人たちに信用が集まっていくのはそういうことですね。

 

そしてこの「お金を稼ぐではなく、信用を稼ぐ時代」の流れはもう止まりません。

 

すでにクラウドファンディングの仕組みが整った今、信用が換金できるというこの便利な機能はなくなることはない。

 

そういった時代に逆らずにしなやかに対応する方法を西野さんは書いています。

 

「しるし書店」と作家

 

しるし書店」についてもこの本では書かれています。

 

しるし書店」とは、人が書き込みや付箋などの「しるし」をつけた本を販売できるサービスで、これも西野さんが作ったサービスの一つです。

 

これも「信用で稼ぐ」ことができるツールで、例えば西野さんが自ら読んで自らしるしをつけた「新世界」は、定価の何倍でも売れるわけです。

 

実際にそんな感じで、一冊の普通の本を3万円で販売する方も出て来ているそうです。

 

この話を聞いて考えたのですが、これは普通に作家が使っても面白いですよね。

 

例えば私が自分の作品「山びこの隣人」の載っている「百物語 サカサノロイ」について創作秘話みたいなものを書き込んで定価以上の値段で販売してもいいわけです。

 

 

作家は自分の本を8掛け(定価の8割の値段)で買うことができるので、自分で何冊も買ってその全てに創作秘話などの「しるし」をつけて売る。

 

本来の「しるし」とはちょっと違うかもしれませんが、間違いなく価値は生まれそうですよね。

 

出版社は本が売れて嬉しい。作者は作品を読んでもらえて嬉しい(お金も儲かる)、読者は付加価値がついて嬉しい。

 

そんあ素敵な仕組みだと思います。

 

「価値の創出」の見つけ方がすごい

 

新世界」を読んでいて思うのは、西野さんは「価値の創出」の天才なのではないかということです。

 

例えば、以下のような文がありました。

 

 

 

数年後にはここに建物が建ってしまって、もう、更地だった頃の『えんとつ町のプペル美術館』を体験することはできないわけだ。  更地だった頃の写真は今しか撮れないんだよね。
(中略)
たとえば、「過去にタイムスリップして、建設途中のディズニーランドで写真が撮れるなら、 10 万円払うよ」って人、いるんじゃないかな?

 

引用元:「新世界」西野 亮廣著 KADOKAWA / 角川マガジンズ

 

 

西野さんは「えんとつ町のプペル美術館」という美術館を作るために、とりあえず土地を買ったそうです。

 

しかしその土地は当然なにもない更地。そこに美術館を作るには15億円ものお金が必要。

 

そこで西野さんは「美術館を作る」という過程そのものもエンターテイメントとして提供し「価値」を創出しました。

 

そこが更地であることにも価値がある」という価値の創出、その考え方は素晴らしいと思います。

 

小説だったらどうやって応用できるかな。

 

アイデアの創出から手伝ってもらう? それだと普通かなぁ。

 

会社で働いていると信用がなくなる

 

そして忘れられないのがこの一文。

 

 

 

「会社に所属してしまうと、会社の事情で場合によっては『面白くないこと』に参加しなければいけなくなって、信用を落としてしまうじゃないですか」  固定給と引き換えに信用を落として、〝自分の力でお金を作れない身体〟になってしまうことが、貯信時代では最も危険なことだということを彼らは知っているんだ。

 

引用元:「新世界」西野 亮廣著 KADOKAWA / 角川マガジンズ

 

 

これはもう、本当にそうですよね。

 

自分が面白いと思えることができないこと、「こんなことして何になる」と思いながら仕事をすることで、信用を落としていく。

 

現代社会では会社に所属をするということは信用を失う危険性を伴うということが書かれています。

 

これはフリーランスもそうですよね。

 

「単価がいいから」と言って自分で面白いと思えないこと、他人に嘘をつかざるを得ないこと(望まない商品紹介など)をしてしまうと、一時的にお金は稼げても最終的に信用を失う危険性がある。

 

信用を失うことがこれからの世界では致命的になる。

 

自分自身にもよくよく言い聞かせておきたいと思います。

 

西野さんの作ろうとしている未来

 

そして「新世界」の最後には、本の題名でもある西野さんの思い描く「新世界」について書かれています。

 

「レターポッド」というサービスを使って西野さんが作ろうとしているのは「文字」に価値が生まれる社会

 

紙幣が「文字」に変わることでどんな面白いことが起こるのか。

 

新世界」の後半は西野さんの思い描く「新世界」の構想について書かれています。

 

そんな世界もいいかも、と思わせてくれる西野さんの考え方をここでも学ぶことができるでしょう。

 

これからの新しい世界を歩むための必携の書

 

新世界」を読み終わっての第一の感想は「今読めてよかったな」ということでした。

 

「お金ではなく信用を稼ぐ」という大きな時代の変化を捉え、自分がこれからどうしていくべきなのか。

 

それを考える為の武器をいただいたように思います。

 

今は変化が激しい世界です。一年後、三年後には全く違った世界になっているでしょう。

 

新世界」はそんな世界をしなやかに生きていく為の必携の書であることは間違いなさそうです。

 

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